崩壊し始めた中国バブル 高級の酒売り上げ急減
タイの人々は日本人以上に中国経済の行方に関心があると思う。それはタイのGDPに占める中国向け輸出の割合が12%にもなっているためだ。日本のその割合は3.6%に過ぎない。中国経済が減速してタイ製品を買ってくれなくなれば、タイの経済は日本以上に大きな打撃を受けることになる。
しかし、タイの人々は残念に思うだろうが、中国経済は失速し始めた。より正確に言えば、バブルが崩壊し始めたのだ。
昨日、日本経済新聞電子版に中国で高級酒の売り上げが急減したことを伝える記事が掲載された。中国で高級酒を作っているメーカーの3月期売り上げが前年同期比で87%も減少してしまい、11億3332万香港ドル(約147億円)の赤字に転落してしまったと言う。
その原因として、習近平国家主席が汚職撲滅の一環として接待や宴会の自粛を打ち出したことを挙げているが、経済が減速し始めたことの方が大きいようだ。
このようの報道を耳にすると、かつて日本でバブルが崩壊し始めたころを思い出す。
日本がバブル経済に踊っていた頃、ドンペリと言うフランス製の高級シャンパンが飛ぶように売れていた。それを銀座のクラブで注文すると一本が30万円もしたと言う。バブルはなやかなりし頃、威勢の良い掛け声とともに、毎晩、何本ものドンペリの栓が抜かれていた。
しかし、バブル崩壊が始まると、ドンペリは真っ先に売れなくなった。それはドンペリを飲んでいたのが不動産や金融に関係した仕事をしている人々だったためである。彼らは、バブルが崩壊の影響を真っ先に受けた。
日本のバブル期と同様に、中国でも不動産や金融に関わった人々がたくさんのお金を持っていた。そして、昨年の秋ごろから、そのような人々にお金が回らなくなりはじめたようだ。それが高級酒の売り上げ急減につながったと思われる。
高級酒が売れなくなったと言うニュースは、バブルが崩壊し始めたことを示すよい指標である。そもそも高級酒が飛ぶように売れていたのは、経済がバブル化していたからに他ならない。
先に示したように、タイ経済は日本以上に中国に依存している。タイの人々は、日本人以上に中国経済の行方に注意を払う必要がある。注意深く行動しないとタイも中国のバブル崩壊に巻き込まれることになろう。
このブログではタイの人たちのために、東京から見た世界の経済や政治、文化に関する情報を伝えて行きたいと思う。一週間に一度程度掲載する予定なので、愛読して頂きたいと思う。
(View from Tokyo, by KAWASHIMA Associates)