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川島 & スワンモントリー アソシエイツ

วิเคราะห์สถานการณ์เครษฐกิจ สังคม และการเมืองเอเชียเป็นภาษาไทยด้วยมุมมองจากญี่ปุ่น สำหรับคนไทยโดยเฉพาะ

口では「改革」を言うものの・・・ 中国で「改革」が進まない理由

 中国で第18期中央委員会第3回総会が開かれた。この総会は今後5年間の政治方針を決定するものだが、打ち出された方針は「改革」を声高に叫ぶものの、日本では多くの人が実効性を伴わないものと考えている。ウォール・ストリート・ジャーナルもほぼ似たような見解を示している。

 中国が曲がり角にあり、「改革」が必要なことは言うまでもない。「貧富の格差」は極めて大きくなっている。政府が発表する所得に関するデータから計算しても、ジニ係数0.4となり、これは格差が社会不安に発展するとされるぎりぎりの値だ。

実際には共産党幹部などは公式統計に乗らない収入を得ているから、ジニ係数はさらに大きくなる。汚職に類した収入は「灰色収入」と呼ばれ、その額は年間6兆元(100兆円、30兆バーツ)にもなると言われる。それに庶民が不満を持つのは当然だろう。

 そのような状態にありながら、これからも中国で「改革」が進むことはないと考える。それは、中国共産党が治安の維持に自信を持っているからでもある。共産党は人民解放軍、武装警察、警察など治安組織を完全に掌握している。

最近、天安門の前と山西省の共産党本部の前で爆弾テロがあったが、それに関連した人々や実行犯はごく短い間に検挙された。一部には、捕まえた人が本当の犯人かどうか疑わしいなどと言った声もあるが、それでも中国政府の治安維持能力が優れていることは疑いのない事実である。農民暴動は、しばしば起こっているようだが、すぐに鎮圧されている。

 「改革」を積極的に行わない真の理由は、「改革」を行えば、それによって不利益を被る人や組織が出て来るためだ。現在、不利益を被る人や組織は大きな力を持っている。中国では「国営企業」やそれに連なる共産党幹部、また地方政府周辺で土地開発に従事している人々が大きな利益を得ている。彼らは共産党の有力メンバーでもあり、その利益代表を政治局常務委員の中に送り込むことができる。

 身を切る「改革」など行いたくない。そのために、口では「改革」を唱えながら、実効性のない計画を打ち出したと言える。

共産党の幹部は、多くの人々が不満を抱いていることは分かっているのだが、それが政権崩壊につながるとは思っていないようだ。しかし、このようなことを続けていれば、中国の矛盾は一層広がる。それは不測の事態にもつながりかねない。

歴史に鑑みれば、現在の中国が置かれている状況は、共産党幹部が考えているより厳しいと考えられる。その理由については、次回以降に述べたいと思う。