K & S Associates

川島 & スワンモントリー アソシエイツ

วิเคราะห์สถานการณ์เครษฐกิจ สังคม และการเมืองเอเชียเป็นภาษาไทยด้วยมุมมองจากญี่ปุ่น สำหรับคนไทยโดยเฉพาะ

アジアの経済発展と農地(1)

 中国経済の今後を考えるためには、土地と経済の関係について理解する必要がある。このことは中国だけでなくタイの将来を考える上でも重要である。土地と経済の関係を考える上では、戦後の日本の経験が参考になるから、東京からの発信にぜひ耳を傾けて欲しい。

 アジアには世界人口の約半分が住んでいる。しかし、陸地面積は世界の約2割でしかない。アジアの人口密度は高い。そのアジアで経済が発展し始めると、都市が急速に膨張する。多くの人々、特に若い人が地方から都市に移住するためである。北京、上海、そしてバンコクの人口も急増している。このような都市人口の急増は、日本では1950年代から1970年代にかけて見られた。

 都市の膨張に伴い、都市近郊の農地価格が急騰する。宅地として売ると農地の何倍、時には何十倍もの値段で売ることができる。そして、農地の面積は住宅地に比べれば格段に広い。日本において都市近郊で農業を営んでいた農家は農地を売って大金を得た。1960年頃の日本には多くの土地成金(農地を売って大金持ちになった農民)が生れた。

ここで、農地の所有形態が問題になる。第二次世界大戦前の日本には多くの地主がいた。そして、地主から土地を借りて耕作する小作人が地主の何倍も存在した。もし、このような状態で都市が膨張したのなら、都市近郊の大地主は巨万の富を手に入れることができたであろう。

しかし、日本では戦後に占領軍によって農地改革が行われたために、大地主はいなくなっていた。都市近郊の土地価格が急騰した頃の日本では、農民はほぼ全員が自作農であった。そして自作農と言っても、その所有する農地は1ha程度でしかなかった。だから、農地を売却して大金を得たと言っても、突出した大金持ちになることはなかった。

このことは、日本が格差の少ない社会を作り上げる上で重要な働きをした。もし農地改革が行われていなかったなら、日本はこれほどまでに格差の少ない社会を作りあげることはできなかったであろう。

実は、現在、中国に大きな貧富の格差が存在する背景には、ここに述べた土地の売却益が関係している。そのことについては、次回に説明したい。