K & S Associates

川島 & スワンモントリー アソシエイツ

วิเคราะห์สถานการณ์เครษฐกิจ สังคม และการเมืองเอเชียเป็นภาษาไทยด้วยมุมมองจากญี่ปุ่น สำหรับคนไทยโดยเฉพาะ

アジアの経済発展と農地(2) 中国の地方政府による土地ビジネス

 都市郊外の農地が広がる地域の地価は安い。しかし、そんなところでも例えば地下鉄の駅でもできれば地価は一挙に跳ね上がる。駅の建設が予定されている周辺の農地を安く買っておいて、駅ができてから売れば大儲けできる。しかし、普通はそんなに上手く行かない。駅ができることが分かれば、その時点で地価が上昇してしまうためだ。

  しかし、その大儲けが中国では可能なのだ。共産主義を掲げる中国では土地は公有制である。農民は農地を借りて耕している。一方、中国で地下鉄を作るのは地方政府である。地方政府は地下鉄の駅をどこに作るか決めることができる。

  政府は農民に対して強い立場を有している。その立場を利用して農地を農民から取り上げる。農民には少々の補償金を支払うだけでよい。地下鉄の駅が完成した後に、土地の使用権を高値で売る。この一連の作業により地方政府は大金を得ることができる。そして、その資金を使ってさらに地下鉄を建設する。中国の奇跡の成長は、土地と公共事業を巡って資金が拡大的に循環することによってもたらされたものである。

  タイや日本では土地の売却収入は農民のものになるから、その資金を使って地下鉄をつくることはできない。そのために地下鉄を作る資金が不足してしまう。それを補うために国債を発行したのだが、日本ではそれらが積み重なって政府の借金がGDP2倍にまで膨れ上がってしまった。だが、土地の売却益を地方政府が直接手に入れることができる中国は、息が切れることなく大量の資金を公共事業に投資し続けることができた。

  この仕組みでは、地方政府のごく一部の役人が巨額の資金を扱うことになる。そこに汚職が生れることは当然であろう。中国の汚職はスケールが違う。昨年、重慶市の共産党書記を解任された薄熙来は一千億円にも及ぶ資金を蓄えていたとも言われる。中国では全ての高官が汚職を行っていると言われるが、それは土地を巡る巨額の資金が権力の周辺にあるためである。

  しかし、土地を利用した奇跡の成長は勢いを失い始めている。それは新たに開発すべき土地がなくなり始めたためだ。また、あまりにも多くの開発を行ったために、投資効率が低下してしまったことも大きい。開発しても売れない物件が増えた。その結果、地方政府が資金繰りに困るようになり、これがシャドーバンクと呼ばれる銀行の簿外債務の問題につながっている。

  土地開発を巡って生じた中国のバブル経済が崩壊し始めている。過去、20年間の成長が余りにも急であったために、そこで作られたバブルはあまりにも大きい。それが破裂すれば、日本がバブル崩壊後に経験した以上の混乱と停滞の時代に突入することになる。

  タイから中国への輸出額は274億ドルにも上り、日本への輸出額240億ドル、米国への輸出額218億ドルを上回っている(2001年)。中国への輸出が急減すれば、タイ経済も大きな打撃を受ける。タイの人々もこの事実を正確に把握し、中国のバブル崩壊に備える必要がある。