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川島 & スワンモントリー アソシエイツ

วิเคราะห์สถานการณ์เครษฐกิจ สังคม และการเมืองเอเชียเป็นภาษาไทยด้วยมุมมองจากญี่ปุ่น สำหรับคนไทยโดยเฉพาะ

黒田日銀総裁の選択と経済学 インフレはコントロールできるのか

タイからリクエストがあったので、これからしばらく安倍政権の経済政策について書いてみたい。

 昨年12月に成立した安倍政権はそれまでの政策を大きく変更した。安倍政権の経済政策は三つの柱によって構成されており、アベノミクスと呼ばれている。これはアベとエコノミクスをつなぎ合わせた造語だ。

 その第一に大胆な金融緩和がある。新たに日本銀行総裁に就任した黒田東彦(くろだはるひこ)氏は20134月、「これから2年間で通貨供給量を2倍にして2%のインフレを実現する」と発表した。これはリフレ策と言われるものであり、なにも黒田総裁のオリジナルではない。長い間、経済学者の間で議論されてきたことだ。

 経済学者の見解は真っ向から対立している。リフレ策を主張している経済学者は、1990年代初頭にバブルが崩壊して以来、日銀の政策があまりに消極的であったためにデフレを招いてしまったと主張している。一方、アンチリフレ派の経済学者は、日本は既に十分に金融緩和を行っており、これ以上日銀による国債の買い入れを行えば、コントロールできないインフレを招く危険性があると主張している。

 アンチリフレ派は経済政策によってインフレを抑制することは出来ても、デフレをインフレにすることは出来ないと考えている。白川前総裁はアンチリフレ派であった。現在、経済学者は、最も重要と考えられる事柄に対して、全く異なる見解を有する二つのグループに分かれている。他の学問分野ではこのようなことはまずない。

 民主党政権は白川前総裁の主張を容認してきた。だが、長く続くデフレに対して国民がいらだちを募らせていたことも事実である。少々危険でも、なにか新しい政策を打って欲しいと思っていた。

 それが昨年の衆議院選挙でリフレ政策を掲げた安倍総裁が率いる自民党に勝利をもたらした。日本は学問において結論を出すべき問題に対して、選挙で結論を出したのだ。壮大な実験を始めたと言ってもよい。

 黒田総裁が大胆な金融緩和を発表して以来、円は1ドル80円から100円付近にまで下落した。また、民主党政権の末期に8,000円前後であった日経平均株価は現在14,000円前後で推移している。

 今のところ、大胆な金融緩和はそれなりの成功をおさめている。国民も概ねその成果に満足しており、それが参議院選挙における自民党の勝利につながった。

 しかし、今後もアベノミクスが順調に進行するかと問われれば、そうは言えないと考える。アベノミクスの正念場はこれからである。それについては次回以降に述べるが、それを理解する上で、これまで述べてきた日本は「農民国家」であると言う認識がとても役に立つ。