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川島 & スワンモントリー アソシエイツ

วิเคราะห์สถานการณ์เครษฐกิจ สังคม และการเมืองเอเชียเป็นภาษาไทยด้วยมุมมองจากญี่ปุ่น สำหรับคนไทยโดยเฉพาะ

敵失で選ばれた東京  イスラムの蹉跌

 東京が2020年夏のオリンピック開催地に選ばれた。そのニュースに日本は沸き返っている。安倍首相のスピーチが素晴らしかったからだなどと言った“ご気楽な勝因分析”が喜びの声と共に語られている。

しかし、冷静に考えれば、真の勝因は敵失にある。1年ほど前まで、2020年のオリンピックはイスタンブールで開かれると思われていた。東京は2回目、マドリッド1992年にバルセロナで開催されたから、スペインでは2回目になる。それに対して、イスタンブールの謳い文句は“イスラム圏初のオリンピック”である。これは魅力的だ。

イスタンブールの敗因は政治の混乱にある。トルコはアタチュルクの改革以来、世俗主義を掲げてきた。イスラム圏の中でも宗教的に穏健で、宗教を巡ってなにかと混乱が多い他のイスラム国とは一線を画すと考えられてきた。

しかし、順調な経済成長が続く中で、トルコはイスラム色を強めている。通常は、経済が発展すると宗教の影響力は弱まるものだが、トルコは逆方向に歩んでいるように見える。

エルドアン首相は影響力を強めるイスラム勢力に配慮する形で、酒の販売を制限するなどイスラム色の強い政策を打ち出している。それに対する反発が、この5月のタクスィム広場の緑地再開発計画に端を発したデモにつながった。トルコではタクスィム広場政教分離を象徴する特別な広場とされる。

デモに激高したエルドアン首相は緑地を再開発するだけでなく、広場に面した公会堂を取り潰してモスクを建設するとまで言い出した。そして、デモを力ずくで排除したが、その際に死者まで出した。

 世界の識者は口にこそ出さないが、イスラム圏で宗教が政治に関与する姿に眉をひそめている。トルコはイスラム圏にありながら世俗主語を掲げており、だから開催候補地になったのだ。しかし、レースの途中でイスラム色を強めた。そして力を使ってのデモ鎮圧である。その中心にエルドアン首相がいる。その首相がブエノスアイレスで最終演説を行ったのだが、それが多くの委員に受け入れられなかったことは想像に難くない。

 トルコの一人当たりGDP1万ドルを超えた。経済的には先進国と言ってもよい。しかし、政治と宗教の関係を見ると、トルコを先進国と呼ぶことはできない。未だに中世的な非寛容の精神が息づいている。

イスタンブールが最後の半年でオリンピック招致レースから脱落したことは、経済発展は容易だが、途上国における近代精神の成熟には時間がかかることを証明したと言ってよいだろう。