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川島 & スワンモントリー アソシエイツ

วิเคราะห์สถานการณ์เครษฐกิจ สังคม และการเมืองเอเชียเป็นภาษาไทยด้วยมุมมองจากญี่ปุ่น สำหรับคนไทยโดยเฉพาะ

コメの買い取りは止めるべきだ

プリディヤトン元副首相兼財務相(元タイ中央銀行総裁)が、コメの買い取り制度による損失は4660億バーツに拡大する可能性があると見解を発表した。現在のタイの政府予算は2兆5千億バーツ程度だから、買い取り政策による損失は、実に国家予算の1/5にも及ぶ。このような状況が続けば、赤字国債の増発を迫られる事態にも発展しよう。

コメの買い取り政策は、前にも書いたことがあるが、百害あって一利ない政策である。日本も、長い間、国家がコメを買い取る政策を続けてきた。しかし、今になって考えれば、それは農業改革を遅らせる効果しかなかった。

このブログで何度も語ってきたことだが、今後、農業が成長産業になることはない。そして、アジアの国々は、農家一戸が広い農地を保有するアメリカやオーストラリアに対抗するために、農業の大規模化を迫られることになる。

だが、コメの高値買い取り政策を続けると、コメを作っていてもそれなりの収入が得られるために小規模な農家もコメを作り続けてしまい、その結果として大規模化が進まなくなる。また、高値で買い取ると言っても極端に高い価格で買い取るわけではないから、コメ農家が豊かになることもない。中途半端な政策なのだ。

現在、日本は農業改革が上手く行かないことに悩んでいるが、その主な原因はコメの買い取り政策にあったと言ってよい。タイは日本の失敗から学ぶべきである。

タイも日本も歴史が始まって以来、ずっとコメを作り続けてきた。コメは主食だ。そして、多くの人々がコメ作りに携わってきた。だから、コメに強い愛着がある。

このような国民感情を背景に、政権政党はコメ生産に対して保護主義的な政策を打ち出しがちである。しかし、農業が成長産業でないために、一旦保護主義的な政策を始めると、それを途中で打ち切ることはできない。日本はコメの買い取り政策を維持するために、生産量を押さえる減反政策(作付け制限)も始めたが、それから40年以上を経過した今でも、その政策を続けている。そして、それは確実に日本農業の活力を奪っている。

タイは政府によるコメの買い取り政策を始めたばかりだ。まだその制度は確固としてものなにはなっていない。そのために、今、取り消しても大きな混乱は起きないだろう。広がる農工間格差の是正のためには、コメの高値買い取りよりも有効な政策はたくさんある。それについては、今後のブログで紹介したい。

タイの人々には、ぜひ、日本の失敗から学んで欲しいと思う。