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川島 & スワンモントリー アソシエイツ

วิเคราะห์สถานการณ์เครษฐกิจ สังคม และการเมืองเอเชียเป็นภาษาไทยด้วยมุมมองจากญี่ปุ่น สำหรับคนไทยโดยเฉพาะ

オランダ型農業が強い秘密

 オランダ型農業に関心が集まっている。それは国土が狭いにもかかわらず、オランダが農産物貿易で大幅な黒字を計上しているためだ。日本ではシンクタンクの職員などが大勢オランダを訪れて、その強さの秘密を探っている。

 筆者はこの夏に家族とオランダに観光旅行に出かけた。観光ではあったがオランダの農業に興味があったから、日本人ガイドにいろいろと聞いてみた。ガイドは農業の専門家ではない。しかし、約20年前にオランダの大学に留学して、その後オランダに住みついてしまったと言うだけに、なかなかのオランダ通であった。

その彼が語るオランダ農業が強い理由は実にシンプルだった。

彼によると、オランダ人はいろいろなことを行う際に、感情を排し合理的な選択をすると言う。あまりに合理的であるためにそれが「ケチ」くさく見えて、その結果ヨーロッパではオランダ人は「ケチ」の代名詞になってしまった。だが、「ケチ」くさい選択はヨーロッパ西北端の寒冷な干拓地に生きる人々の知恵なのだそうだ。

 オランダ農業の中心は酪農であるが、第二次世界大戦が終わるころまでは、祖父母とその息子夫婦、孫たち三世代が一家で農業を営むと言う姿が一般的であった。一戸が保有する牛も5頭程度だったが、今では一戸が保有する牛は500頭程度にまでなっている。短時間で大型化した理由は極めて簡単である。農業への補助金がヨーロッパの中で一番少なかったからだと言う。

条件の悪い土地で生きてきたオランダ人には、ある産業を補助金で守ると言う発想が乏しい。それが、結果として強い農業を作り上げた。

これまでのブログで述べてきたように、経済発展に伴い農業が儲からない産業に転落することは歴史の必然なのだが、オランダでは補助金が少ないために多くの人が伝統的な酪農から離れざるを得なかった。そして、酪農から離れた人々が温室を用いたトマトの栽培などの新しい農業にチャレンジした。その結果、オランダはヨーロッパにおけるトマトの一大産地になったと言う。

オランダと日本、それは過去50年間に渡り、まったく異なった農政を行った。そして、オランダ農業は強くなり、日本農業は弱体化してしまった。

タイが見習うべきはオランダ農業である。しかし、昨今、インラック政権は日本農業の真似を始めたようだ。コメの政府による買い取りは、まさに日本が行って来た政策である。それはタイの農業を弱体化させることになる。そのことについては、次回に述べたい。

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